熊野神社
天井絵と絵馬(てんじょうえとえま)は市指定有形文化財。天井絵は179格の中に花卉、動物、人物、山水が細やかな筆致とやわらかな色遣いで見事に描かれています。絵馬は「秀吉耐忍之図」と「西郷ト月照之図」の2枚です。「秀吉耐忍之図」は、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が大志を秘めて我慢している図とされ、肩をもんで耐えている様子を描いています。「西郷ト月照之図」は、京都を中心に各地で反幕運動が激化した安政5年(1858)大老井伊直弼による志士弾圧から逃れるため、西郷隆盛を月照は京都を脱出し、薩摩を目指し大阪より船出、その船上での二人の様子を描いています。薩摩藩主島津斉彬を頼り薩摩を目指すが斉彬はすでに亡くなり、幕府の追及は厳しくなる一方、ついに二人は錦江湾に入水することになります。隆盛は命をとどめましたが、月照は命を落とします。この絵馬は「明治年三十九年丙午十二月四日」とあり熊野神社改築時に寄贈されたものと思われます。